2008-01-01から1年間の記事一覧
直木賞受賞後初の書き下ろし長編小説。「家族」と、そして「小説家」の物語。 ひょっとすると、後々、「家族三部作」みたいな形で呼ばれるのかもしれない、なんて妄想をしてみたくなる。『赤朽葉家の伝説』で桜庭一樹の作中にくっきりと現れた「家族」という…
最近、認知科学がマイブームな感じになっていることもあり、いいタイミングで読めた小説だと思う。 この小説は、ロボットについての話であり、そして同時に人間についての話でもある。ロボットが自我をもつとはどういうことか、ということを考え始めると必然…
さて、直前となってしまいましたが、所属サークルあまるふぉすが、11月16日に開催されるCOMITIAに参加することをお知らせします。スペースNoは「ま03a」です。こちらの公式ブログでも告知しておりますが、今回、『ソフラマ!』の最新号(02号)を新刊として…
日本と世界の国々がリンクした上で歴史をやり直している世界で、終末から世界を救うため、そして一人の少女を助けるためにみんなが頑張る話。 相変わらず、凄い。下巻は700P以上あったのだけれど一日で読めてしまった。描写の迫力、台詞回しの上手さなどは前…
今日『AURA 魔竜院光牙最後の闘い』について話すので自分の中の整理のために。・自分としてはとりあえず物語の着地点は二人が部屋でキスするところだという認識。最後の実は皆妄想戦士でした、というのはちょっと遊びが入った気がする。いや、大好きだけれど…
第三回ケータイ小説大賞大賞受賞作『あたし彼女』(著:kiki,リンク:http://nkst.jp/vote2/novel.php?auther=20080001)を読んだ。あわせて、『ケータイ小説的。』(著:速水健朗)を読んだのだが、そこで書かれているこれまでのケータイ小説と『わたし彼女…
小説を書けなくなったベストセラー作家の主人公と、食べてしまうくらい小説が大好きな文学少女の二人が織り成す物語。そんな『文学少女』シリーズの最終巻。最初から最後まで十二分に楽しませてくれたいい作品だった。これまで、文学作品をモチーフにして物…
たまには、ギャグで笑えるようなものが読みたいなと思い、話題にもなっているので読んでみた作品。 主人公、杉崎鍵は美少女だらけの生徒会の副会長で黒一点。ギャルゲーエロゲー大好きで自分はこの生徒会でハーレムを作るんだといって憚らないような破天荒な…
批評という方法、について自分の思うところを述べたいと思います。 僕の場合、批評というのは人に届けるための言葉であり、価値の幅を広げてくれるものだと考えています。そして何より自分を納得させるための言葉でもあります。 このブログを見ても分かると…
というわけで参加してみます。 まず、新規作品から。まず、第一に挙げたいのは「君のための物語」落ち着いていて、それでいてユニークな語り口で物語に引き込まれます。タイトルに惹かれる人は是非読んでみてください。君のための物語 (電撃文庫)作者: 水鏡…
世界中のの生物から知覚されず、また自分も生物を知覚出来ない。それは完全に孤独だということ。そして、その孤独な世界に生きる「黄昏の子供たち」女の子と、その子を見ることが出来る男の子のボーイミーツガール。これはそんな孤独と絶望と優しさの物語だ。
男子禁制の女学院。生徒会、演劇部がその光だとするならば、読書クラブは影、女学院のアウトローたちの集い場である。「哲学者たり、理学者たり、詩人、剣客、音楽家たる」彼女たちは皆「ぼく」と自らを語り(重要)*1、箱庭でさえずる少女たちを遠めに見な…
この小説は、主人公ソフィーがある日「あなたはだれ?」「世界はどこから来た?」と言う手紙を受け取るところから話が始まる(それとともにヒルデという謎の女の子に対する誕生日メッセージも受け取る)。ソフィーがその問題に頭を悩ませていると、その次の…
これは、これから起きるかもしれない、いや、もしかするともう既に起きているかもしれない世界の戦争と戦う少女達の物語である。文章は読みにくい。一文あたりに大量の情報が圧縮されているため、うっかり読み流すと今何がどうなっているのかがわからなくな…
2008春の文学フリマ、無事終了しました。参加者、運営者の皆さん、お疲れ様でした。 冊子を買っていただいた方に最大限の感謝を。本当に嬉しかったです。僕としては初めての同人誌即売会だったのですが、とても楽しかったです。なにぶん人見知りなので他の方…
いきなりですが、明後日、5/11文学フリマ2008に参加します。ブースはB-40です。(HPはこちら文学フリマ | 小説・評論・詩歌 etc.の同人/商業作品展示即売イベント) 『ソフラマ!』というライトノベルについての雑誌を出します。創刊号、第一号ともに100ペー…
最近、こんな質問があったらしい ライトノベル愛読者が理解できない -近年、ライトノベルが市民権を得て- 文学・小説 | 教えて!goo さて、この質問が確かに挑発的に見えるのは確かだし、質問者に悪意があったのかどうかも、僕には判断できない。まあ、ただ、…
この本の正しい読み方はきっと終始ニヤニヤして読むことなんだ(=人前では読めない)。 今日からアニメ化した「図書館戦争」のスピンアウト作品。帯に「恋愛成分が苦手な方はご健康のために購入をお控えください」と書いてある時点でもうニヤニヤ。読み始め…
サークルでこの本について読書会をしていたことは前にも書いたと思う。 とりあえず、読書会が終わって、自分の中でおぼろげながらもこの本で言われていることに対しての意見がまとまってきたのでちょっと書いてみる。多分、間違っているところや勘違いしてい…
第十四回電撃大賞金賞受賞作の、奇妙で親愛なる彼をめぐる、奇妙で不思議な物語。 表題といい、表紙といい、見たときからこれは自分の好みどんぴしゃだなと思っていたのだけれど、その期待はやっぱり裏切られなかった。読み終わった後に幸福感に包まれた本は…
二ヶ月前に、この話が載っている「電撃文庫MAGAZINE」を買ってはいたのだけれど、文庫が出るまで読むのを我慢していた。本の形になっていたほうが個人的に一番物語を楽しめるので。一年前、「ミミズクと夜の王」で電撃大賞を受賞した紅玉いずきの新…
今回の直木賞受賞作。主人公、花とその父でもあり、「花の男」でもある淳悟との物語。桜庭一樹の作品で、おそらく一番インモラル。だけど不思議とそれが感じられないのはあまりにもそれが純粋だから。人間臭さは無いかもしれないけれど、その無機質で無邪気…
さて、今更ながら去年一年で印象に残った本を挙げていってみようと思います。 「ゲーム的リアリズムの誕生」:東浩紀 初めてサブカル論/オタク論というものを真面目に読んだのだけれど、この本からは色々と目から鱗が落ちるような発見ができたと思う。これを…