銀色ふわり(著:有沢まみず)

世界中のの生物から知覚されず、また自分も生物を知覚出来ない。それは完全に孤独だということ。そして、その孤独な世界に生きる「黄昏の子供たち」女の子と、その子を見ることが出来る男の子のボーイミーツガール。これはそんな孤独と絶望と優しさの物語だ。

孤独であることの一番の恐怖は人に甘えられないこと。この物語の中心人物の二人、安住春道とイエスタデー(銀花)はそれが出来なかった。全ての人がスクリーンの向こうにいる(銀花は物理的に。春道は精神的に。)から自分が苦しい、人に打ち明けることが出来ない。自分の苦しさを叫ぶ方法が分からない。それはとても、残酷なことだと思う。
そして、そんな二人が出会い、お互いの孤独に気付いたとき、彼らは「少し救われた」。

きっと僕はこの子の想いを受け止めるために。
ただそのために。
あの長い長い夜を僕は耐え続けてきたのだ。
"消えたい"と思っていた気持ちは決して無駄ではなかった。

こういうのに、僕は弱い。
だけれど、その救いも、その直後に「彼女がいつかは消えてしまう」という絶望に変わる。物語はその運命に抗おうとする春道の決意を持って閉じ、次へと続く。

果たして、最後に、彼らはどこに行き着くのだろうか。もし、銀花が消えてしまうようなバッドエンドだとしても、お互いに救われるような結末が見たい。

銀色ふわり (電撃文庫)

銀色ふわり (電撃文庫)