AURA覚書

今日『AURA 魔竜院光牙最後の闘い』について話すので自分の中の整理のために。

・自分としてはとりあえず物語の着地点は二人が部屋でキスするところだという認識。最後の実は皆妄想戦士でした、というのはちょっと遊びが入った気がする。いや、大好きだけれど。「……ひきょうだぁ」
・メタであることは今更言うまでもないけれど、メッセージはものすごいベタだ(フィクションに憬れるのならまず現実頑張ろう、努力しよう)。だけれどこのベタはメタでしか読者を説得できないベタなんだろうな。
・「現実とフィクションの区別を付けろ」というのはまあ、もう古臭いし、反発したくなるけれど、AURAで描かれているのは「区別しなければヤバイ」フィクションと「憬れてもいい」フィクション。そこをちゃんと描けているのはやっぱり凄い。
・決してリアルな作品ではない。妄想戦士はもちろんだけれど、それ以外の登場人物もリアルではない。学校や街の雰囲気もまた然り。その点、こう言っては難だけれどちゃんと「ライトノベル」だ。
・けれど物語にリアリティを感じるのは確実に現実を元にしてキャラクターや雰囲気が作られてるからなんだろう。登場人物のどこかに自分を感じてしまうところがある。
・一番戯画化されてるのはライトノベルそのもの。ライトノベル=妄想戦士的な登場人物が活躍する小説群としてしまっているのは若干乱暴。
ハルヒとの対比。ハルヒは「現実→非現実」AURAは「非現実→現実(ともとれる)」
佐藤良子は果たして本当に「妄想」戦士だったのか?
・想像力としては「非現実(=理想)があってもいいんだ!」というものなのは変わらない。フィクションを肯定する物語。AURAのほうがむき出しだけれど。ハルヒの後にあるからそのむき出しさがより強い意味を持つのかもしれない。

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)