読書

『いつも心に剣を』 著:十文字青

『いつも心に剣を』を読んでみて、ANGEL+DIVEシリーズが面白くなってきたのはやっぱり十文字青の文章が好きになってきたから、というのが大きいな、と改めて思った。十文字青の文章には独特のリズムがあるし、癖がある。特に、キャラクターが何か考えたり行…

『ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!』(著:田尾典丈)

とても、面白かった。主人公にかなり感情移入してしまって、色々身悶えながら一気に読み終えてしまった。『ラノベ部』にしてもそうだったけれど、主人公がプレイヤー、もしくは読者であるというのは反則的だと思う。だって、それだけで楽しめてしまうから。 …

『電波女と青春男』著:入間人間

良い青春小説でした。これまでの入間作品と比べて表面上黒かったり痛かったりするところがあんまり見えて来ない。予想外に読後感はさわやか。リュウシさんかわいい。ただ、見えてくるテーマの一部は結構痛い。なし崩し的に「電波な女の子」と関ってしまう話…

ファミリー・ポートレイト 著:桜庭一樹

直木賞受賞後初の書き下ろし長編小説。「家族」と、そして「小説家」の物語。 ひょっとすると、後々、「家族三部作」みたいな形で呼ばれるのかもしれない、なんて妄想をしてみたくなる。『赤朽葉家の伝説』で桜庭一樹の作中にくっきりと現れた「家族」という…

デカルトの密室 著:瀬名秀明

最近、認知科学がマイブームな感じになっていることもあり、いいタイミングで読めた小説だと思う。 この小説は、ロボットについての話であり、そして同時に人間についての話でもある。ロボットが自我をもつとはどういうことか、ということを考え始めると必然…

境界線上のホライゾン1上下 著:川上稔

日本と世界の国々がリンクした上で歴史をやり直している世界で、終末から世界を救うため、そして一人の少女を助けるためにみんなが頑張る話。 相変わらず、凄い。下巻は700P以上あったのだけれど一日で読めてしまった。描写の迫力、台詞回しの上手さなどは前…

AURA覚書

今日『AURA 魔竜院光牙最後の闘い』について話すので自分の中の整理のために。・自分としてはとりあえず物語の着地点は二人が部屋でキスするところだという認識。最後の実は皆妄想戦士でした、というのはちょっと遊びが入った気がする。いや、大好きだけれど…

『あたし彼女』について

第三回ケータイ小説大賞大賞受賞作『あたし彼女』(著:kiki,リンク:http://nkst.jp/vote2/novel.php?auther=20080001)を読んだ。あわせて、『ケータイ小説的。』(著:速水健朗)を読んだのだが、そこで書かれているこれまでのケータイ小説と『わたし彼女…

文学少女と神に臨む作家(ロマンシエ)(下) 著:野村美月

小説を書けなくなったベストセラー作家の主人公と、食べてしまうくらい小説が大好きな文学少女の二人が織り成す物語。そんな『文学少女』シリーズの最終巻。最初から最後まで十二分に楽しませてくれたいい作品だった。これまで、文学作品をモチーフにして物…

生徒会の一存――碧陽学園生徒会議事録1――著:葵せきな

たまには、ギャグで笑えるようなものが読みたいなと思い、話題にもなっているので読んでみた作品。 主人公、杉崎鍵は美少女だらけの生徒会の副会長で黒一点。ギャルゲーエロゲー大好きで自分はこの生徒会でハーレムを作るんだといって憚らないような破天荒な…

銀色ふわり(著:有沢まみず)

世界中のの生物から知覚されず、また自分も生物を知覚出来ない。それは完全に孤独だということ。そして、その孤独な世界に生きる「黄昏の子供たち」女の子と、その子を見ることが出来る男の子のボーイミーツガール。これはそんな孤独と絶望と優しさの物語だ。

青年のための読書クラブ(著:桜庭一樹)

男子禁制の女学院。生徒会、演劇部がその光だとするならば、読書クラブは影、女学院のアウトローたちの集い場である。「哲学者たり、理学者たり、詩人、剣客、音楽家たる」彼女たちは皆「ぼく」と自らを語り(重要)*1、箱庭でさえずる少女たちを遠めに見な…

ソフィーの世界(ヨースタイン・ゴルデル)

この小説は、主人公ソフィーがある日「あなたはだれ?」「世界はどこから来た?」と言う手紙を受け取るところから話が始まる(それとともにヒルデという謎の女の子に対する誕生日メッセージも受け取る)。ソフィーがその問題に頭を悩ませていると、その次の…

スプライトシュピーゲル、オイレンシュピーゲル(冲方 丁)

これは、これから起きるかもしれない、いや、もしかするともう既に起きているかもしれない世界の戦争と戦う少女達の物語である。文章は読みにくい。一文あたりに大量の情報が圧縮されているため、うっかり読み流すと今何がどうなっているのかがわからなくな…

別冊図書館戦争1

この本の正しい読み方はきっと終始ニヤニヤして読むことなんだ(=人前では読めない)。 今日からアニメ化した「図書館戦争」のスピンアウト作品。帯に「恋愛成分が苦手な方はご健康のために購入をお控えください」と書いてある時点でもうニヤニヤ。読み始め…

リチャード・ローティ「偶然性・アイロニー・連帯」

サークルでこの本について読書会をしていたことは前にも書いたと思う。 とりあえず、読書会が終わって、自分の中でおぼろげながらもこの本で言われていることに対しての意見がまとまってきたのでちょっと書いてみる。多分、間違っているところや勘違いしてい…

『君のための物語』水鏡希人

第十四回電撃大賞金賞受賞作の、奇妙で親愛なる彼をめぐる、奇妙で不思議な物語。 表題といい、表紙といい、見たときからこれは自分の好みどんぴしゃだなと思っていたのだけれど、その期待はやっぱり裏切られなかった。読み終わった後に幸福感に包まれた本は…

桜庭一樹『私の男』

今回の直木賞受賞作。主人公、花とその父でもあり、「花の男」でもある淳悟との物語。桜庭一樹の作品で、おそらく一番インモラル。だけど不思議とそれが感じられないのはあまりにもそれが純粋だから。人間臭さは無いかもしれないけれど、その無機質で無邪気…

作品の楽しみ方

最近、大学の先輩の影響で東浩紀や大塚英志を読み始めた。 彼らは私がこれまで読んできたライトノベルやADVについて、彼らなりの考察をもってその「面白さ」を定義している。 彼らの評論を読んで、これまであやふやだったものがすっきりとに見えた気がして、…